「リラックスしてください」と言われて、逆に緊張してしまった経験はありませんか?
あるいは、「やる気を出せ!」と言われて、かえって気持ちが冷めたことは?
実は催眠療法では、「暗示」を活用しますが、実は日常のコミュニケーションでも、この暗示の使い方次第で相手の行動が変わるのです。
暗示には「直接暗示」と「間接暗示」の2種類があります。
直接暗示とは、指示や命令を通じた暗示のことです。
例えば、クライアントをリラックスさせたいときに、「リラックスしてください」とストレートに伝えるのが直接暗示です。
しかし、「リラックスしなければ」と意識するからこそ、かえって緊張してしまうわけです。
一方で、間接暗示とは、それとなくほのめかすことで相手を導く方法です。
たとえば、「ここにいると、多くの人が自然とリラックスするものなんです」と伝えられると、クライアントは「命令された」とは感じず、自分のペースでリラックスできるようになります。
「自分の意思で」リラックスしたと思うことで、意識的な抵抗も生じにくくなるのです。
さらに、直接暗示(命令)のコミュニケーションは、「させられた感」があるため、意識的な抵抗を生みやすくなります。
一方、間接暗示(ほのめかし)を使うと、相手は「自分で選んだ」と感じるため、モチベーションを維持しながら行動できます。
この違いは、仕事の場面でも大きく影響します。
仕事において、緊急時やミスが許されない状況では、直接指示が必要です。
しかし、人を育てたい場面では、間接的に促すコミュニケーションが有効になります。
たとえば、上司が部下に対して、
🔹 直接暗示:「この作業をすぐにやってください」
🔹 間接暗示:「この作業をすると、スムーズに進むことが多いですよ」
と伝えた場合、後者の方が部下は「自分の意思でやろう」と思いやすくなります。
つまり、上司が直接的な指示ばかり出すと、部下は指示待ちになりやすくなるのです。
人を育てるのが上手なリーダーの多くは、往々にして直接暗示と間接暗示のバランスを取ることに優れています。
催眠療法だけでなく、日常の会話や仕事の指導にも、暗示の使い方は影響を与えます。
なぜなら、暗示とはこちらが伝えたいメッセージだからです。
指示が逆効果になることを防ぐために、間接的な言い方を取り入れてみると、相手のモチベーションを保ちながら、より自然に行動を促すことができるようになります。
あなたも、「直接暗示」と「間接暗示」を使いこなして、日常のコミュニケーションをよりスムーズにしてみませんか?