支援をしていると、「最初にどんな言葉をかければいいんだろう」と考えることがあります。

どんな質問をすればいいのか。
どう声をかければ、話しやすくなるのか。

でも、こんな経験はないでしょうか。

まだ挨拶をしただけなのに、クライアントさんが自然に話し始める。

逆に、丁寧に質問しているのに、どこか話しにくそうだったり、少し距離があるように感じたりする。

言葉そのものには、それほど大きな違いはない。
それなのに、なぜか場の空気が違う。

ひょっとすると、私たちの関係性は、最初の言葉を発するよりも前から、すでに始まっているのかもしれません。

私たちは、言葉より先に何かを受け取っている

人は、相手が何を話しているのかを理解するよりも前に、いろいろなものを受け取っています。

表情だったり、姿勢だったり、動く速さだったり。

呼吸や声のスピード感もそうです。

そうしたものから、「この人は安全なのか」「構える必要はないのか」ということを、私たちは無意識に感じ取っています。

だとすると、支援者が内側で何を感じ、何を信じているのかも、完全に隠すことは難しいのかもしれません。

姿勢やジェスチャー、距離感、動く速さ。

そういうところから、自然と外に出てしまうからです。

「この人、難しいかも」と思った瞬間

たとえば、クライアントさんを見た瞬間に、

「この人、難しいかもしれないな」

と思ったとします。

すると、ほんの少し体が斜めになったり、後ろに引いたりするかもしれません。

声が少し小さくなったり、焦って質問したり、沈黙が怖くなって間を埋めてしまったりすることもあります。

「この人は難しい」という思いが、知らないうちに体を通して表れてしまうわけです。

では反対に、

「この人の中には、まだ出ていない力がある」

と思いながら、その人の前にいたらどうでしょうか。

「今はまだ、そんな状態なんだ」

そう思えると、少し間を持てるかもしれません。

支援者自身も落ち着いていられる。

すると、呼吸も変わるでしょうし、話し方や伝え方も自然と変わってくるのだと思います。

「変われますよ」と言う前に

たとえばクライアントさんから、

「私は変われません」

と言われたとします。

そんなとき私たちは、励ましたくなって、

「いや、変われますよ」

と返したくなることがあります。

もちろん、言葉そのものが悪いわけではありません。

でも、それによってクライアントさんの中にある、

「変えなければならない私」

が、かえって強くなることもあります。

一方で、

「変われないと感じるほど、何かが強く今働いているんですね」

と関わることもできます。

そのときクライアントさんが受け取るのは、単なる説明ではありません。

「この人は、私を修正しようとしていないんだ」

という体験が生まれるかもしれないんです。

私は今、この人の何を見ているんだろう?

だから、セッションの中で少し立ち止まって、

「私は今、この人の問題を見ているのか。それとも、可能性を見ているのか」

と考えてみてもいいのかもしれません。

「この人の問題は何だろう」

と見るのか。

それとも、

「この人の可能性は何だろう」

と見るのか。

その違いによって、声のトーンも、表情も、関わり方も、ずいぶん変わってくるのではないでしょうか。

支援について学んでいると、私たちはどうしても「何を言うか」を学ぶことが多くなります。

もちろん、それも大切です。

でも、ひょっとすると、そのもっと前にあるもの。

自分がどんな状態で、その人の前にいるのか。

そこからすでに、関わりは始まっているのかもしれません。

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