対人支援をしていると、こんな場面に出会うことはないでしょうか。

やりたいことは、本人にもはっきり分かっている。目標も立てているし、行動計画もある。それなのに、なかなか動けない。動き始めても続かなかったり、行動しているはずなのに変化が浅かったりする。

支援者である私たち自身も、「目標を決めたのに行動できない」という経験を持っているかもしれません。

そのとき、つい「意思が弱いのではないか」「もっと習慣化しなければ」と考えがちです。でも、もしかすると問題は目標や行動計画そのものではなく、その奥にある決意を扱えていないことにあるのではないでしょうか。

目標の奥には、その人の「こうありたい」がある

目標は、目に見える外側の成果であることが多いものです。たとえば、売上を上げたい、人前で話せるようになりたい、もっと集客したい。こうした目標は具体的で、分かりやすいですよね。

一方で、決意とは、その目標を生み出している内側の方向性のようなものです。

「もう自分を後回しにはしたくない」「人に合わせるだけでは生きたくない」「本当の意味で自分を信じたい」。こうした思いが、その人の行動の奥にある決意になっていることがあります。

たとえば、もっとSNSで発信したいというセラピストの方がいたとします。表面的には、「発信したいけれど、やり方が分からない」という問題に見えるかもしれません。

けれど、深いところでは、「嫌われたくない」「間違っていると思われたくない」「本当の自分を出すのが怖い」というテーマがある場合もあります。

そうだとすると、本当に必要なのは投稿のテクニックだけではありません。その人自身が、どんな自分として発信するのかが大切になってきます。

「自分の感覚を大事にしてもいい」。そのような内側の決意が、行動の土台になることがあるのです。

習慣は「義務」ではなく、大切なものに手をつけているサイン

決意に触れたあと、次に習慣が関わってきます。毎日取り組むことや、行動目標としてルーティンを決めることもあるでしょう。

ただ、習慣を「やらなければいけないこと」として扱うと、苦しくなりやすいものです。

たとえば、毎朝ノートを書く習慣があるとします。それをタスクや義務、あるいは自分に課したマイルールとして続けていると、ノートを書く前から嫌になってしまうかもしれません。

同じ行動でも、「これは自分の声を聞く時間だ」「自分を大事に扱う時間だ」と捉えたら、その意味は大きく変わります。

習慣は、単に行動を繰り返すことではなく、「自分にとって本当に大切なことに手をつけている」というサインにもなり得ます。

ですから、行動そのものだけを見るのではなく、自分がどんな自分として、その行動をしているのかを見ていく必要があります。

行動を変える前に、自分のあり方を見つめる

「もっと人間関係を良くしたい」という目標を持っている人がいるとします。

けれど、本音を言わず、嫌われないように相手に合わせ、相手を優先し続けているとしたら、コミュニケーションのテクニックだけで関係が変わるとは限りません。

もちろん技術も大切です。ただ、その前に「私は自分の感覚を持って、人と関わってもいい」と内側で変わっていくことが必要なのかもしれません。

同じことを繰り返しながら、違う結果だけを求めることはできない。そんなふうに言うことがあります。

本当に変化したいなら、行動だけではなく、自分自身のあり方も変わっていく必要があるということです。

まずは、支援者である自分の決意から見てみる

対人支援では、クライアントの行動を変えることだけを目指すのではなく、その人がどんな存在として生きようとしているのかに触れていくことがあります。

そのためにも、まずは支援者である私たち自身が、自分の内側にある決意を見ておくことが大切ではないでしょうか。

私は本当は、何を決意しているのだろう。どんな自分として、目の前の人に関わろうとしているのだろう。

目標の手前で、少し立ち止まってみる。そこにある決意に触れたとき、その人の行動は「頑張って起こすもの」から、内側の方向性に沿って自然に動き出すものへと変わっていくのかもしれません。

目標を尋ねるだけでなく、その奥にある「本当はどうありたいのか」に耳を澄ます。私たちの支援は、そこから始まることもあるのではないでしょうか。

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